全国どこでもそうらしいが、函館もとにかく暑い。我らの早朝テニスだって8時を過ぎる頃には相手は熱暑で、発汗vs給水が実態だ。しかし40度なんて都市もあるというから恐れ入る。店主の育った十勝は真夏でもせいぜい30度が上限で、そんな時などこれぞ夏の頂点と心得て耐えつつ、迫る秋や冬に想いを至らせたものだ。思えば7月もまだ中、こんな時期のこんな気温では本当に先が思いやられる。 そんな暑さで脳も溶けそうな時、堤未果さんの「(株)貧困大陸アメリカ」を読み終えた。278ページの岩波新書だが、アメリカ発グローバリゼーションの実態が描かれ、前作からいくらも経てないのに、その害毒が広範囲に拡大進行してる事を思い知らされる。いま我が国もTPP参加を巡って揺れてるわけだが、石油や食糧自給システムをはじめ勿論金融、文化に至まで国家の尊厳を根こそぎされたイラクや韓国やアルゼンチンなどの実情が紹介され、読めば我が国の行く末だって容易に想像できる。そのアメリカだって国家そのものが企業の餌食になってるわけで、まったくもって悪夢としか言い様がない。今や国家という概念に拘ってると事の本質を見失うだろう。そこにはアメリカも日本もありゃしない、グローバリズムとはそんな垣根を乗り越えて蔓延るわけで、我らの内なる「貪欲さ」が地上のあらゆるモノを奪い尽くすわけだ。我らヒト種のわずか1%の貪欲族が、残りの99%を奴隷化するという構造だ。その比率はしかしもっともっと拡大する一方だ。その貪欲族だって一目でそれと分かるわけじゃなくて「ニッポンを取り戻そう」「規制緩和で財政再建」などと厚化粧仮面で我々を欺くのだから始末が悪い。著者は最後に対抗手段も提案してるけれど、とにかく読書中背筋の凍る思いをするのは間違いない。手遅れにならんうち、せめて選挙には行こうと言うしか無い。
画像は石戸谷準さんのステンドグラス越しに見える教会の庭の緑。