空の色 展

 旧大野町在住の母と函館在住の娘、つまり安藤エツ子さんと美香さんの藍工房"かや野"作品展が始まった。毎年この時期に開催して10年になるのだが、市民と観光客そのどちらにも喜ばれてる。それというのも母が栽培した藍を用いて、それを母娘で染めたり織ったり仕立てたりするわけで、作品はまさに渡島平野という風土の産物。 藍染めが日本の伝統工芸なのは事実だ。しかしヨーロッパで合成染料が開発され、何かと扱いの難しい藍染めは一時すっかり姿を消したと言われてる。現在の藍染めは、だから試行錯誤しながらやっと再生復元した技術、いわばリバイバルである。ムラなく均質に、そして素早く染まる合成染料万能の時代にナニを好んで厄介な藍染めをと思うけれど、しかしそうした合理性や簡便さからは生まれてこない「味わい」が藍にはある。

 先週の作家であるキャロラインさんが、お隣のヨハネ教会ハンセン牧師さんの娘というのは紹介済みだが、実はこのギャラリー建築の祈願祭を執り行ったのがそのハンセンさんである。そして牧師さんは、いわゆる棟札を用意してくださり、そこには「神は愛である」と認められ、この屋根裏にそれは奉られてるはずだ。「愛は藍である」とは駄洒落であるが、母から娘に伝わる藍もまた愛で、つまりここは藍のとても良く馴染むギャラリーなのであります。

安藤エツ子・美香 藍工房かや野「空の色展」

会期7月1日から23日まで

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