石戸谷サンとヤマメ

 石戸谷さんは札幌の生まれだ。ステンドグラスを学ぶ為にフランスに渡り、彼の地の美術工芸学校で6年過ごし技法やデザイン、歴史など本場ヨーロッパで学べる事は全て身に付けて帰国、現在は札幌圏の江別市に工房を構えている。工芸の世界には「技術が表現を自由にする」という言葉がある。感動を姿形に置き換えるのが技術で、優れた工芸作品はすべて優れた技術の結果と言ってよい。そんなわけで石戸谷さんの技術は本場ヨーロッパ仕込みの本格派、とりわけフッ酸を利用した彼の絵付けは世界的な評価を受けている。
 今朝5時、その石戸谷さんがギャラリーにやってきた、作品入れ替えのためだが、実はその前にヤマメ釣りに出かける約束なのだ。寝ぼけ眼の店主は釣り具一式ともども工芸家の車に拾われ、いつもの茂辺地川へと向かう。たっぷり降った雨の後だから心配もあったが、着いてみたら水量は多めでも意外に濁りは少ない、ヤマメ達には勿論釣り師にとっても大変悦ばしいコンデイションだ。釣り上ったり、また下ったりして陽射しが強まるまでおよそ3時間遊び、店主は7匹、作家は1匹のヤマメを釣った。店主の7匹は店番の忍耐に希望を与え、作家の一匹からは美しい作品が導きだされる。
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