今年の本

 今年読んだ本ベスト3のひとつが、ブライアン・フェイガン著「海を渡った人類の遥かな歴史」だ。イギリス生まれでヨット乗りでもある作者が、黒海や地中海はもちろんインド洋や南太平洋、アリューシャン海域などを自ら航海しつつ、ガレオン船やカタマランやバイダルカといった小舟で水平線の彼方に乗り出した古人を想い描いたもの。アフリカ大地溝帯で誕生した人類が、旺盛な人種分布活動で陸上を極め、次なる新大陸やオセアニア、あるいは太平洋にばらまかれた絶海の島々にまで至った様子が描かれている。
 生命の故郷は海だが、"板子一枚下の地獄"を覚悟して陸地を離れたのもまた彼らだ。そうした波頭の彼方に自らを駆り立てた理由というのが飢餓からの脱出であり、富や名誉追求など現世利益なのがよく分かった。そして「未知なるもの」を極めずにいられない我らヒト族の業のなせるワザでもあった。もちろんよくも悪くもだが...
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