2014年10月アーカイブ

river runs through it

 定休日に江差に行って来た。快晴無風の美しい秋日和で、峠の紅葉は今が盛りである。道路際の楓や楢やウルシ達は金襴緞子の娘達のように華やかな色彩で、幾度も車を停めては何枚もの写真を撮った。間もなく色彩は色を失い、冷たい霙雨とともに舞い散るだろうけれど、こうした季節に心惹かれるのはそこに今の我が身を重ねあわせるからに違いない。
 江差では、古い蔵を再生して茶店にした出来立て物件を見たり、やはり蔵利用のパン屋さんに立ち寄ったりした。「江差の五月は江戸にも無い」と謳われた時代もあったわけで、往時の賑わいを記憶したこうした建物を、再生し、新しい光を照射する活動を見てるととても嬉しくなる。
 帰路は上ノ国経由の木古内回りにした。今年廃線になった江差線に沿った道だ。画像はその道から眺める鉄橋なのだが、一両のジーゼルカーもいまは走る事が無い。
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アナログ好きのデジタル教授

 まず店主パソコンに映し出された画像を見て頂きたい。黄色、一部にオレンジ色もあるが、これらは地図上に舞い散ったイチョウの葉たち...ではない、一つ一つが巡航中の旅客機なのだ。斯くも多くの旅客機たちが飛び回ってるのに驚かされるが、任意の一つを選択すれば、その出発地から目的地に向かう航跡や高度やスピード、航空会社名や使用機材、あるいはコックピットからの眺めまで識別観測認知できる仕組みになっている。まるで地球規模の巨大管制塔だ。
 これはflightrader24というウエブサイト(http://www.flightradar24.com/14.37,-7.38/2)である。一般公開されており、だれでも自由にアクセス出来るのでぜひお訪ね頂きたい。店主も実は写真展「函館で暮らした12年、その移ろいと瞬間」の小西教授に教えられたが、今やすっかりこれにはまり込んでいる。航空機は人類の最速移動手段だが、人々はどこからどこに向かおうとしてるかが視覚化され、目的や動機は様々にせよ、また私用であれ公用であれ、とにかく共に生きてる仲間達の行動様式が瞬時に読み取れるのだ。コンピュータの力をあらためて思い知らされるが、教えてくれた小西教授の趣味がアナログの極地であるカヌーと本格派登山と聞き不思議に納得する。
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小西先生の写真展

 小西さんの肩書きは「公立はこだて未来大学名誉教授」だ。専門は情報学で、京都大学や名古屋大学、高知大学などを経て12年前未来大学に着任された。多くの青年を指導して一昨年退官されたけれど、我が国情報学のパイオニアなのである。
 京都と名古屋では登山を、そして高知ではカヌーを極めたが、函館着任と同時に始めたのがデジタル写真とのこと。末広町のマンション9階の自宅と大沼公園駒ヶ岳山麓に別邸があって、この地の都市景観と自然景観との組み合わせが情報学者の心と共鳴したものらしい。この地では2万枚の画像を撮り貯めたそうだが、写真発祥の地のギャラリー店主が、情報の塊でもある写真に夢中な情報学のオーソリテイ小西先生を煽り立て、この度の作品展になった次第。
小西修写真展"函館で暮らした12年、その移ろいと瞬間"
会期は10月末日まで
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川眞田弘藍型絵染展

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 川眞田さんは藍の本場徳島の生まれ育ちだ。かって全国に藍製品を送り出し、未曾有の繁栄を誇った脇町の近くに立派な工房を構えてる。しかし、いま、年の半分は北海道暮らしである。大沼の自然景観に魅せられ、初夏から晩秋までを駒ヶ岳山麓の仕事場完備山荘で過ごしておいでである。
 コシノジュンコさんのパリコレクション藍染めはすべて川眞田さんの手に拠るものである。スゴウデ服飾デザイナーが信頼する染め技術は折り紙付きということになるが、しかし得意技である藍型絵染めで表現された大沼や函館や故郷徳島風景を見ていると、心に湧き上がる感動を作品として再現する力もまた相当なものである。
「川眞田弘藍型絵染展」
会期は10月10日まで